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思想信条を変える菅新政権

明日、鳩山内閣にかわって菅新内閣が発足する。
菅新総理の思想信条は、本来左翼に近いものと言えるだろう。
鳩山前首相とは明らかに違うところがある。
これまでの市民派としての氏の経歴や言動を見れば、わかることである。
”極左”的な発言をしたことも多々あった。生まれつきとか本性あるいは素性などというものは、いつまでも人間についてまわるものだ。その”本性”を天上大風は懸念する。

菅氏は拉致実行犯である辛光洙の釈放嘆願書に、江田五月氏、土井たか子氏、千葉景子氏などと共に署名した。

氏のこれまでの問題発言には
『 「新しい教科書をつくる会 」 は国粋的な思想政治団体だ
  (平13)。   海兵隊は沖縄にいなくても、日本の安全保障に支障はない。米領内に戻ってもらうべきだ(平13)。
昭和天皇は退位すべきだった(平17) 』
などのような過激なものがあった。

「 天皇ご在位二十年記念式典 」では、政府主催で式典実行副委員長を務めたが、陛下ご臨席の場で 「首を何度も何度もこっくりこっくりとし、居眠りをしていた」 と指摘された(平21年11月
)。氏の皇室観には、大多数の日本人が皇室に対して抱いている敬愛の情からは、大きくかけ離れたところがある。

また海兵隊に関する上記の発言も、日本の安全保障の本当の意味を理解しているとは思えない異常な軽さがあるが、こういう「反米リベラル」 が元々の氏の本音なのである。


ところが、政権が目前に近ずくにつれて、それまでの主義主張から大きく転向・変身したかのような発言が増えてきた。現実主義者ということも考えられるが、保身のためであろう。

  -転向は見事だが本物か-
副総理・国家戦略担当相だった昨年末、日米関係について
「 政治的には日米同盟が果たしてきた役割は大きかったし、これからもアジア、世界の安定のために、最も重要な関係だ 」 と述べている。
民主党では小沢前幹事長、輿石参院議員会長、山岡前国対委員長らが、日本と米国、中国の関係は対等であるべきだとする 「 三角形論 」 を主張している。 (*1)
これら小沢派の考え方とは違うと、言い始めた
のである。

もし本心で言っているのであれば、見事な転向だと言える。総理となった今このような考えを持ち、これがそのまま菅氏の政見とな
るならば、管新内閣は鳩山内閣よりは現実的に良い方向に向かい、しっかりしてくると言えるかも知れない。
新内閣の動きをよく見守っていく必要があるだ
ろう。

また
6月4日新代表就任時、菅氏は以下のように 「クリーンな政治を」との政見要旨を発表して、
経済の再生、税制と歳入の改革に触れ、日本外交の基軸は日米関係だとした。 (*2) 

-経済の再生ができるか。消費税に突っ込めるか-
『 政治とカネに対し厳格な姿勢を示し、クリーンな政治を政策実行の大前提とする。
最優先は、マニフェストで約束したむだ遣いの一掃だ。国家公務員人件費削減、特別会計のゼロベースでの見直しなど、本丸に切り込む。企業・団体献金の禁止も実現する。
最大課題の一つは、日本経済の再生と成長だ。デフレ脱却に取り組む。新成長戦略を実行に移し「強い経済」を実現する。
年金、医療政策などの充実すなわち「強い社会保障」は、新たな雇用、消費を生み出し、経済成長にもつながる。「強い財政」も課題だ。歳出改革、抜本的な税制改革を含む歳入改革を検討し、国民に正直に提起する。 』

菅氏が”切り込む本丸”とは高嶋良充氏の自治労だ。改革の最大抵抗勢力、民主党の大票田である。連合もそうだ。本当に切り込めるのか、にわかには信じられないが良く見ていくしかない。

  -本気で日米合意を守れるか-
日本外交の基軸は日米関係だ。米国との連携を含め、国民の生命・安全を守る安全保障を確立する。普天間問題についても、日米合意を踏まえつつ、沖縄の負担軽減に向け、粘り強い努力を続ける。日米合意とは政府と政府、国と国の合意だ。
北朝鮮の拉致問題解決にも全力を尽くす。民主党内に、政策調査会を設置する。 』 とも言った。様変わりである。

今の状況では、菅新内閣でも日米合意の実行が先送りされること、必然であろう。
また”拉致犯釈放署名”の事実は重い。これを弁解しているわけだが、本当に拉致が解決できるのか。日米合意が守れるかと共によく見なければならない。

  -小沢氏退場と取り巻きの残留-
今回の新体制発足の目的は、政治とカネの小沢氏退場による参院選対策であった。しかし、国民の前で頬被りは続いている。取り巻き連中もほぼそのまま残った。
日教組の輿石前幹事長代行、自治労の高嶋良充前筆頭副幹事長など、国家のために何が出来るでもなく、ただ小沢氏の側でごまするだけの連中は参院幹部として残っているのである。

  -東アジア共同体-
また、代表選を前にした演説で、地域主権・新しい公共・東アジア共同体・温室効果ガス削減の4つをあげ、鳩山方針を踏襲するとした。”東アジア共同体”と”温室効果ガス削減”は掛け声倒れで問題が大きい。特に
”東アジア共同体”は内容がなく、実現が難しい”空論”であろう。政治体制が異なる東アジアを共同体にする”空想”の前に、民主主義を守る日本の足元の安全保障体制をしっかりすることである。

  -団塊の世代-
菅氏は鳩山氏と一つ違いで、共に団塊の世代である。戦後教育や戦後民主主義思想の強い影響を受け、高度経済成長時代に大学紛争を経験した。この年代の一部の人には、安保闘争の夢を追い続け、戦後レジームからなかなか脱却できないままの人もいる。 菅氏がそういう人かはわからないが。

菅氏も
鳩山氏もこのような時代に”流行”した「知的・進歩的思想」の持ち主ではないかと思われる。
”対等な日米関係”、”常駐なき日米安保”や”東アジア共同体”などがそれに通じていると思う。そう考えると菅氏の”本性”も、鳩山氏の場合と同じように、うなずける。

全学連・全共闘の活動が盛んだった学生時代、反米闘争することが若さでありエリート意識をくすぐった時代だ。やがて、それが間違いだったと気付く。歴史の流れからも、日本の正しい進路からも大きくずれているということに目覚める。鳩山首相の辺野古原案回帰も、どこかそれに似ている。10年前、菅氏が野党の立場から気軽に吐いた言葉も、それが間違いであったことにだんだんと気づいたのか。菅氏の転向もそのようなものに似ているところがありそうだ。

  -国益に叶う正しい方向への転向を歓迎する-

信念や主義・思想を貫き通すというタイプでは全くない。現実を上手く泳ぐには信念は曲げて当然、ということであろう。しかし、皮肉にもこの”曲げ”は、日本の国益に叶う正しい方向への”曲げ”である。
氏の左翼思考からの転向が本物であれば良いと思う。転向したその正しい思想に基づいて、政治をやってくれることを、天上大風から望むものである。

(*1) --菅副総理「日米関係が最重要」、TBSの正月用番組収録で、MSN産経ニュース、 2009・12・28--
(*2) --読売ニュース、菅新代表「クリーンな政治を」政見要旨、2010・6・4

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