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愚かなり我が民主政権

終戦後のジャズ・スタンダード曲に、My Foolish Heart というのがあった。 愚かなり我が心。 同名映画の主題曲にも使われ大ヒットしたが、響きの良いこの言葉が今思い出され、思わずその呟きが口から出てしまった。
どんなに冷静な人でも人は恋すると Foolish になるという意味の歌詞だから、政権の迷走劇を表現するのとはちょっと違う意味なのだが。

昨日、鳩山首相が初めて沖縄を訪問し、米軍普天間飛行場の県内移設を仲井真知事に表明したのである。
普天間の迷走は首相自身のせいだから、”愚かなり我が首相”というのが適確な表現であろうが、なんとか沖縄の負担を軽くしたいと本気で悩んでいる人柄の良い首相を、あまり非難したくない気持ちが天上大風にはある。

一番言うべきなのは”愚かなりわが国民”であろうか。とんでもない左翼政権をつくってしまったのが、主権者である国民だったのだから。 しかし問題が多くて深刻なのは”愚かなり我が民主政権”の全体像である。過激な労働組合の党ともなっているが故に、懸念されるのである。

政権与党は選挙対策しか念頭になく、独立国家存立に何が必要なのかを考えようともしないようである。東アジア共同体とか、対等な日米関係とか、日米中正三角形論などを空疎に叫んでいる。この政権は左翼過激派から真正保守派、大衆迎合チルドレンなど、並から上質までの”人材”にあふれ、中身がばらばらで戦略性のない雑多な集団だ。
理念なき”守銭奴”と呼ばれる幹事長は問題外だろうし、県内国内はダメと言うばかりで、可能な具体案を提示する力もない社民党の連中ももちろん問題外だ。

日本の教育を破壊し共産党より過激な主張をする教組が有力な支持母体となっている。その代表者が幹事長代行に座る。拉致実行犯釈放嘆願書に署名した閣僚や国会議長、多数の労組代表閣僚や党幹部からなるこのような民主政権に日本の将来を担わせるにはあまりにも問題が多過ぎた。

そういう中で、鳩山首相は、発言はブレるが中道の理念をもつ代表者として全体を束ねる力があると期待したところもあった。かって9条を含む憲法改正を唱えたこともある。日米同盟が日本の基軸とも発言した。密かに期待していたのであるが、こうなってしまい残念である。


1・自主憲法なき日本は眞の独立国か?
日本が自らの力で国の主権を守り、自由と民主主義を守るためには、9条と96条に問題のある占領軍憲法の囚縛から解放されなければならない。この時初めて日本は眞正の独立国となる。占領軍は96条で憲法改正を困難にし、9条を日本国民に押し付けたのである。
日本が本当にやらなければならない最重要事項はこの占領軍憲法を改正して自主憲法を制定することである。これができないために、63年もの長い間改正されないままの世にも稀有な憲法が存続しているのである。これができないために、米軍基地問題が発生し、普天間の不要な摩擦が生じるのである。自民歴代政権の無作為の責任は大きい。しかし民主党は自民党以上にこれに目をふさぎ、逃げている。

”文藝春秋1999年9月特別号所収の自由党党首小沢一郎の「日本国憲法改正私案」”は10年後の今、まさに民主党員が読み返し参考にすべき改正論の一つであろう。”「国連常備軍」を創設する”など議論の余地もある改正論であるが、小沢一郎氏の本来の姿はこうであった。中国を愛し朝貢する今の小沢氏。何と変節してしまったことか!

2・普天間は一例に過ぎない。自主憲法がないから自らの力で国を守ることができず、やむなく日米安保と米軍の抑止力に頼らざるを得ないのである。
その結果米軍が日本国内基地に駐留し、そこから基地反対闘争や摩擦が生じるのである。
普天間はその一例に過ぎない。一党独裁のすさまじい軍拡国から国家主権を守るためには、日米安保に頼るしかない、同盟の抑止力に縋るしかない日本なのである。

反米・反保守でなければ Intellectual とは言えないという奇妙な風潮がはびこって、戦後民主主義をかざした”進歩的知識人”はこの”国の主権を自ら守る”という基本理念を決して理解しようとはしなかった。
我々が政府や野党に対しても、どんな政治家やジャーナリズムに対しても自由にものが言え自由に活動できるのは、何のお陰であるか。自主防衛力なき日本が民主主義を守るためには、同盟の抑止力に頼るしかないのである。旧ソ連には人民に自由はなかった。今の中国に言論の自由があるか。

日本の領土・領海を狙い、海洋覇権国家を目指す中国、対等な日米関係や米中を等値した二等辺三角形などについては「天上大風から日米中を見て」でも論じた通りである。

3・すべてをひっくり返し、わざわざ混乱をつくってしまった鳩山政権
沖縄の理解も得られ、日米両政府が合意した辺野古現行案を、昨年中に決着させておけば何の問題もなかった。しかし前政権とは違うことをやるという、メンツのためだけに、これをすべてひっくり返してしまった。何という”愚かな首相”であろう。

4・学べば学ぶほど”抑止力”が分かり、その重要性に目が覚めたという首相

やっと首相は事の重大さに気づき”抑止力”の重要性に驚き目覚めたということである。
首相は昨日、「日米同盟の関係の中で、抑止力を維持する必要性から、国外あるいは県外に普天間の機能をすべて移設することは難しい。県民の理解を得て、沖縄の中に一部この機能を移設せざるを得ない。」
「この国の安全を守るための基地の存在というものの必要性をすべての国民に理解してもらうなかで、負担を分かち合うという気持ちをもっていただきたいと思う。徳之島に関しても近々、三町長にお目にかからせてもらう機会をいただいた。」
「昨年の衆院選当時は、海兵隊が抑止力として沖縄に存在しなければならないとは思っていなかった。学べば学ぶほど、連携し抑止力を維持していることが分かった」と述べた。

また、昨年の衆院選で沖縄県外、国外移設を主張したことについて「自身の発言に重みを感じている」と語った。移設先を「最低でも県外」と繰り返し、沖縄の期待感を自ら高め、煽っておきながら、ついに県内移設を示唆する結果に陥り、ひたすら低姿勢の「おわび行脚」に終始してしまったのである。

国の最高責任者としてあまりにもレベルの低い話であり、あきれて言葉を失ってしまう驚くべき発言である。
抑止力の典型が沖縄海兵隊だ。このことを鳩山首相がやっと明言したということであろう。当たり前のことを言明したに過ぎないが、民主”左翼政権”であっても、その首班としての発言の重みは甚大である。
沖縄から遠ざかる場合の抑止力の低下、沖縄の人々に配慮すべき事項などについては、天上大風の「’いのちを守る’にも同盟の抑止力は不可欠」でも論じた通りだ。。

沖縄、徳之島、米国、連立政権を納得させられる案はどこにも存在しない。最初から誰の目にも分かっていたことである。
普天間が改善されないまま、危ない状況が現在のまま継続することになる。

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