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”いのちを守る”にも同盟の抑止力は不可欠

平時も同盟の抑止力は不可欠だと天上大風は考える。あまっちょろい友愛では国民のいのちは守れないのである。

民主党は衆院選で、普天間の県外移設を沖縄県民に約束して勝った。しかし今これを反故にしようとしている。反故にしなければ、国民の‘いのちを守りたい’という首相の切なる願望は保障されないということが、ようやく分かって来たようである。
国益は二の次、選挙区が喜ぶマニュフェストで有権者を釣って政権をとる。その後、国益を損なうことがだんだん分かってきて、前政権の施策に戻らざるを得ないというのはあまりにも稚拙であり狡猾的ですらある。

1・実行出来ない民主党の大衆迎合政権公約
国家観なき連立政権の右往左往にはただただ呆れるばかりである。 
県外移設という約束を反故にするのはハトでなくサギだという安倍元首相の発言が報道されたが、よく言い得ていると思う。
ガソリン税の暫定税率「廃止」もそうだった。こういう大衆迎合マニュフェストを掲げて政権をとり、土壇場で全く逆の税率「維持」に変えてしまうなども同様にサギに近いと言って良いであろう。参院選以降の選挙でも、勝つために手段を選ばぬ小沢流常套戦術が採られるとなれば、国民にとってはたいへん迷惑なことだ。

連立与党幹部の顔を見ても、国のトップとして不適格な指導者が多い。辺野古に近い土地を買い漁った中国大好き幹事長、勝手発言のバラバラ閣僚、当てこする国民新と社民の幹部、そしてなによりも決断力・統率力を欠く国家観なき友愛総理である。

2・わざわざ解決不能にして迷走する
  外交・安全保障政策の愚

普天間移設の現行案は次の様なものであった。
名護市辺野古キャンプ・シュワブ沿岸部に普天間飛行場の代替施設を建設する。必要な公有水面埋め立ての許可権限は県知事にあるが、知事はこれを許可する予定であった。

日米両国間で13年間にわたって議論に議論を重ね、様々な可能性を検討した上でやっと辺野古沿岸部に落ち着いたものであった。県も地元も賛成して、あとは政府がゴーサインを出せばいいという状況になり、奇跡的とも言うべき地元との合意だったのである。これをわざわざ名護市長選後に先延ばしして県外移設をあおり、解決を困難にしてしまったのだ。

普天間問題は昨年中に現行案で決着させておけば何の問題もなかった。首相は2月末になった今でも、米国と沖縄県と与党3党の全部に理解が得られるベストの案にすると、再三再四発言している。 しかしこれに対する解が何処にも存在しないことは誰の目にも明らかである。

そして最近、沿岸部を陸上部に替えるという大同小異の代替案が出てきたのである。自民党とは違うのだという、メンツを立てるためだけの苦肉の策であり、天上大風もこれには笑いを禁じ得ない。こんな迷走政権も、国民の‘いのちを守る’には「辺野古まわり」が最も現実的であることがやっと分かって来たということであろうか。最終決定したわけではなくまだまだ迷走が続こうが、何ともあきれた遠まわりである


3・平常時こそ必要な日米同盟の抑止力

先に「天上大風から日米中を見て」の中でも”日米同盟と沖縄の抑止力”と題して論じた通りであるが、ここで改めて基本的な考え方を整理しておきたい。

日米同盟は、日本を始めとする東アジア諸国の共通の価値観となっている自由・人権・民主主義体制を防衛するための東アジア最重要の同盟であり、東アジア安全保障の基盤となるものである。
この同盟の抑止力は非常時のためだけにあるものではない
平常時でも様々な地域的紛争を未然防止するための強力な抑止力なっているのである。
東シナ海・尖閣諸島や太平洋・沖の鳥島など日本の領土・領海・経済水域を守るのみならず、台湾の民主主義を守り、北の核攻撃など朝鮮半島の有事にも備えるものだ。
日本からマラッカ海峡、ホルムズ海峡に至る日本のエネルギー資源確保に死活的に重要なシーレーンの防衛、特に東シナ海、南シナ海周辺までの日本のシーレーン防衛に、この同盟の抑止力は平常時非常時を問わず不可欠なのである。


4・移設先を沖縄から遠ざければ
    抑止力は著しく低下する。

沖縄は東アジア唯一の海兵隊常駐基地である。日本ほか韓国・台湾も守る機能を有し、侵略に対する大きな抑止力となっている。これをサイパン・グアムなど東アジアから遠い海外に移設すれば抑止力は著しく低下する。日本海・東シナ海・黄海の地域紛争で例え小さな紛争に対しても、日本は無力となるであろう。
普天間問題での日米紛糾についての朝鮮半島の反応をメディアは 『「歓迎」の北朝鮮 「懸念」の韓国 普天間巡る日米紛糾 』と報じていた。鳩山政権は日米紛糾で南を心配させ、北を喜ばせているのだ
韓国の外交通商相も、2月末岡田外相との会談で全く同じように言及している。

5・沖縄に投入された国費
1)沖縄へはこれまで、膨大な国費の投入がなされてきた。以下のような実態がある。
・基地周辺整備事業費(平成19年度は1619、6億円)、
・一般地主への毎年の軍用地料(平成18年度 777億円、20年
  800億、21年 900億円)
・名護市が受け取った援助額
  「 基地周辺整備事業費:平成18年度の例では1.2億円、特定
  防衛施設周辺整備調整交付金:6.4億円、基地交付金:毎年
  2.8億円、普天間飛行場の移設容認の代償としての地域振興
  予算:10年間で775億円が投入された。 」
2)基地で働く 9000人の所得と米軍軍属、家族が地元に落とす金は合わせて 2155億円であり、沖縄県の年間観光収入4000億円、公共事業費2200億円から見て如何に大きいかが分かる。(2・7付産経ほか)

沖縄基地に反対闘争する人々は地元のみならず、それ以上に県外から入る人々が多いという。基地で潤う自治体や一般地主は基地問題への本心を見せないとか、外部からは見えない地元の民意があるなどと指摘するメディアもある。

6・今後沖縄の人々にさらに配慮すべき事項

沖縄・普天間の大きな枠組は維持しつつ、沖縄の人々の負担軽減となるように、沖縄への直接援助をさらに拡大していくことが当面の現実的な解決策であろう。
次のような追加支援ができないであろうか。
・日米地位協定のさらなる改訂。
・大幅な所得税減税や住民税に対する優遇策。
・地域振興のための予算の増額。
・騒音・危険防止対策のため建物や施設等に対する特別防護の追加実施。
現在でも企業立地促進法などによる支援で、数々の優遇処置が実施されているが、必要ならさらに積み増しすべきであろう。

日米が2006年に合意した米軍再編のロードマップでは、抑止力を維持しながら、基地問題に苦しむ沖縄の負担を軽減することを目指している。その柱が普天間飛行場の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部への移設と海兵隊要員8000人のグアム移転だ。抑止戦略上、普天間の代替施設なしでは海兵隊のグアムへの移転はあり得まい。米国防長官のそういう発言もあった。
現時点でベストな現行案で進められなければ、普天間飛行場の危険な状況がこのまま固定化してしまうのである。

外交・安全保障は継続性が最も求められる分野だ。国の安全保障にかかわる問題を首長選挙の結果に委ねること自体が誤りであり、国の責任で一刻も早く勇断すべきである。

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