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年頭の5大紙社説を読んで

天上大風が読んだ年頭の新聞社説では、5大紙とも日中を超えて日米関係が重要であることを述べている。いずれも鳩山政権の米国離れ中国接近を憂慮したものばかりである。

鳩山政権の対米姿勢に拍手する気分が日本国内にあることは天上大風も認める。反米という感情論も多い。しかし、自由・民主主義という普遍的価値を共有するアメリカか、軍拡する言論の自由なき共産党独裁国か、日本に選択の余地は全くない。民主主義国でない中国の拡大を恐れる東南アジア諸国も日米関係を非常に心配している。

2010年元旦は快晴だった。屠蘇酒気分も残る昼過ぎ、普段買わない新聞を買いに出た。新聞情報はインターネットでも十分得られるが、元旦には新聞を買うのがこのところの習慣となっている。

天上大風の予想通り、各社説が語る2010年の年頭の辞には
「日米関係」が最も多く取り上げられていた。
5大紙とも日中以上に日米関係が重要であることを強調しているが、これは国益から考えて当然のことである。

・・・産経のみ元旦は論説委員長の「国思う心」・
年頭社説は3日の「脱デフレ元年」、日経は元旦・3日の両社説、他はすべて元旦の社説である・・・

同じ「日米関係」でも各紙でニュアンスは異なる。異色だったのは朝日であろう。 朝日は安保と9条を並列し、日米同盟が重要だということを認識しつつ、中国も同様に重要だと言う。5紙の中では一番中国寄りである。

各紙の元旦社説の要点を次に示す。

鳩山外交は内政の視点から外交をみてきた野党時代に培われた「反・親米」感情の危うさがある。
(日経)
国民も問題だ。選挙で国民が危機を呼び込んだといえなくはない。(産経)

朝日: 日本には中国・アジアが重要。しかし日米同盟も利益あり大事。両方をよく考えて、同盟を鍛えながらアジア・世界にどう生かすか、日本の政治家はそういう大きな物語を語れ。安保と9条の組み合わせが安心の源となる。核の秘密も解け。財政支援しているから、米国への防衛義務がなくとも、「片務的」ではない。政権交代したのだから日米同盟も見直しがあって良い。
米中どっちつかずで、力点の見えない社説となっている。

読売 : 日米同盟は日本の安全保障の生命線だ。

民主主義、人権尊重、思想・信条の自由という普遍的価値を共有するアメリカとの関係強化を、アジア・太平洋の平和と安定の基礎に置く視点が不可欠である。 これは明快だ。

日経(元旦) : 安全保障に関し日米同盟の意味合いを、未来の視点からもう一度考えてみる発想が大切。
日経(3日) : 鳩山外交は安全保障と日米関係を軽視する傾向がある。内政の視点から外交をみてきた野党時代に培われた「反・親米」感情の危うさがある。

毎日
外交の基軸日米関係は稚拙な対応で自ら苦境を招いた。
外交の基軸である日米同盟の深化が必須だ。
普天間問題で揺らいでいる日米の信頼関係を確固としたものに回復する必要がある。

産経「国思う心」が難局を動かす  
・日米同盟という基軸を変えようとしている。代わる軸・東アジア共同体構想を提起。
・米軍の抑止力がこの国の平和と繁栄を維持してきた。抑止力が損なわれた場合、乗じる勢力も出てくる。首相は国民の平和と安全を守る決断をいまだに示そうとしない。
国民も問題だ。選挙で国民が危機を呼び込んだといえなくはない。
・首相は「友愛」より「国思う心」で難局を乗り越えてほしい

次に朝日の社説を選んで、天上大風の意見を示す

21年連続で2ケタの軍拡をやる国が「平和的台頭」するだろうか。
核密約解明:民主主義政府こそ国益機密を大切にして民主主義を守る。


朝日 : 「激動世界の中で より大きな日米の物語を」
・米中、大欧州に加え新興諸国が存在感を増す。その中で、日本はどうやって平和と繁栄を維持していくのか。
---鳩山論文と同じ調子だ。
・日本を一緒に守る安保と、憲法9条とを巧みに組み合わせる選択は、国民に安心感を与え続けてきた。
---9条のみであったが、安保にも言及し始めた。
・中国の軍事増強も懸念。すぐに確かな地域安全保障の仕組みができる展望もない。
---地域安保が不可能なことは良く分かっている。
・日本の財政支援も考えれば、安保は米国の「要石」でもある。
日本が米国の防衛義務を負わないからといって「片務的」はあたらない。
---日米安保は、日本を守るものというより、米国のためのものという考え方だ。
素手でも金を払っているから相手を守らなくとも対等という。集団的自衛権は論外ということ。
・アジアでは、日米同盟と9条は日本が自主防衛や核武装に走らないという安心の源でもある。
---安保は日本を守るためではなく、日本の軍拡を阻止するためにある。うまい考えだ。朝日らしい親中韓北の視点だ
・中国が「平和的台頭」から外れないよう牽制するうえで、米国の力の存在への期待もあるだろう。
---21年連続で2ケタの軍拡をやる国が「平和的台頭」するか。平和的台頭は空想だろう。
・同盟国は賢く使え。同盟は「空気」ではない。日本の政権交代で突きつけられたのはそのことだ。
---政権交代したんだから外交・安全保障という国家基軸も変えて良いという。
・普天間の背景は米軍基地が集中する弊害だ
---全体でなく、この言葉のみが取り出され繰り返される。
・過去の密約の解明。民主主義政府が隠し続けていいはずがない。
---解明してどうなるのだろう。中国と北が笑うのみ。国益にならない。民主主義政府こそ民主主義の国益機密を大切にする。
・日米安保は戦後の日本に米国市場へのアクセスを保し、高度成長を支える土台でもあった。
---世界市場ではなく米国市場といいたい。
・中国、アジアとの結びつきなしに日本は生きていけない。
---その通り。政経分離でいけばよい。ブログ「天上大風から日米中を見て」でも述べた。
・アジア地域全体として、軍備管理や地域安全保障の枠組みをつくるには、太平洋国家である米国の存在が欠かせない。 そうした構想を進めるうえでも、日米の緊密な連携が前提となる。 日米の同盟という土台があってこそ日本のソフトパワーが生きる領域は広い。 むろん同盟の土台は安全保障にある。 日米の歴史的なきずなは強く、土台は分厚い。同盟を維持する難しさはあっても、もたらされる利益は大きい。同盟を鍛えながらアジア、世界にどう生かすか。日本の政治家にはそういう大きな物語をぜひ語ってもらいたい。
---以上の長文は全部朝日社説である。朝日もここまでいうように変わってきた。望ましいことである。憲法制約のある日本は日米同盟なしには何もできないことは分かっている。
9条死守が時代錯誤となりつつあるという世の中の流れを予感させるような社説である。

”同盟を鍛えながらアジア、世界にどう生かすか。政治家はそういう大きな物語を語れ”というが、これは抽象的で意味が分からない。


付録最後に朝日以外の4紙社説の抜粋を付記しておく。

読売 : 「ニッポン漂流」を回避しよう  今ある危機を乗り越えて
・政治経済の迷走停滞の原因は、連立政権が日本の平和と繁栄、安心社会を維持するための中長期の国家戦略を欠くうえに、当面の進路すら国民に明示できないため。国家戦略なき日本は、国際社会の荒波の中で孤立し、やがては漂流することになろう。
・機能不全はキャスチングボート政治マニフェスト至上主義官僚排除に由来。
社民、国民新が民主を振り回し、外交・安保や財政・経済運営の基本をゆがめる現状は看過できない。連立政権維持を優先する小沢幹事長らの思惑、普天間・日米同盟の危機が指摘される事態だ。
・日米同盟で平和を確保、自民による政局安定と経済成長を築いたことは間違いない。
・日米基軸が国益に沿う。日米同盟は日本の安全保障の生命線だ。軍備増強を背景に経済権益の拡大を図る中国。
・安全保障同盟を基軸とする良好な日米関係の維持は国家戦略の基本に位置づけなければならない。東アジア共同体構想で米国離れ志向の首相の言動は極めて危うい。
・経済面で中国の協力は欠かせないが、それ以上に、民主主義、人権尊重、思想・信条の自由という普遍的価値を共有するアメリカとの関係強化を、アジア・太平洋の平和と安定の基礎に置く視点が不可欠である。

このような考え方はブログ「天上大風から日米中を見て」で述べた意見と全く同じである。

日経 : 未来への責任  繁栄と平和と地球環境を子や孫にも
・きのうで団塊の世代は全員古希を迎えた。この世代は高度成長期に育ち、平和と繁栄を謳歌。戦後世代を象徴する人々である。
・北朝鮮の核開発の如く、20世紀型の脅威は去っていない。中国の21年連続での国防費2ケタ増加も、東アジアの長期的安定にどんな影響を及ぼすか読めない。鳩山政権は日米関係について前政権と一線を画すように見えるが、それは賢明か。

毎日 : 2010年再建の年 発信力で未来に希望を
・発信力を高めるには外交の基軸である日米同盟の深化が必須だ。普天間問題で揺らいでいる日米の信頼関係を確固としたものに回復する必要がある。

産経「国思う心」が難局を動かす  
・日本丸の船長たちは、船の行き着く先とその結果を考えていない。日米同盟という基軸を変えようとしている。代わる軸として東アジア共同体構想を提起はしている。
・忘れてならないのは、日本の安全だ。米軍の抑止力がこの国の平和と繁栄を維持してきた。抑止力が損なわれた場合、空白が生じ乗じる勢力も出てくる。首相は日本国民の平和と安全を守る決断をいまだに示そうとしていない。
国民も問題だ。選挙で国民が危機を呼び込んだといえなくはない。
・総選挙で国民が民主党に議席を与えた意味を再考すべき。国政責任を負う立場にない小沢幹事長への信任ではないのである。国民を守り、国益を実現する最高責務は首相しか担えない。「友愛」より「国思う心」で難局を乗り越えてほしい。

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